『思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを』
桜綻ぶ春。
近頃、京の都ではこんな噂が囁かれている。
春の匂いの霞む夜、都の北のはずれには夢にも見ぬよな美女が居て、一目で男は焦がれ死に
そこには大きな桜の老木散っても決して散りきらず満開のまま咲き誇る不思議な桜があるそうだ。
その根元には『不老不死の妙薬』が埋まっているらしい・・・
散らない桜に憑りつかれ京の都は大騒ぎ。
帝、盗賊、陰陽師、歌人に町人、法師に武士
百夜の誓いに想いを賭けた、恋に狂ったおとこと死ねないおんな
桜の根元に埋まっているのは不老不死の妙薬か、それとも・・・。