2006.02.18

終わってみて…(暮川の思ったこと。長文だらだらと・笑)

やっと、まったりとした日常に戻ってまいりました。(笑)
…とかいいつつ、来週にはすでに次回の打ち合わせ飲み会(飲み会?!)があるのですが、気持ちが次回に行ってしまう前に、とりあえず、暮川的金の蜥蜴考察を。
お時間のある方はどうぞお付き合いくださいませ。(^^)

さてさて、今回はW主演をお願いした山井が、12月に彼の能楽師として大事な舞台となる「道成寺」の披きがあったため、稽古期間は12月5日から、と必然的に決まっておりました。
まぁ、今回はほぼ全員舞台経験は豊富な「プロ」ということで、稽古期間は短くてもいいか〜♪と気楽に考えていたのですが、この後、まぁ、とんでもないアクシデントが起こってしまったため、実質の稽古は1月中旬から、という、げにも恐ろしき事態に。(苦笑)

…本当に、みんなプロ根性があってよかったなと…。
口には出しませんでしたが、一時は「…ほんまに幕上がるんかいな…」なんて、思わず弱気になりそうな時もありました。
ですが、そこはそれ、みんなのプロ根性を信じて、最後まで行くしかないと。
そして、信じた結果が出て、本当によかったと思います。

さてさて、うちの劇団(というか、うちは劇団員を抱えているわけではないので、毎回公演ごとに人を集めるユニット、ですが)のコンセプトとして「能楽と現代芝居(現代劇、とはちょっと違う)はどちらも役者のやる芝居である」ということを、お客様に感じて欲しい、というものがあります。

「能楽」というと「言葉はわからないし、見たことないし、動きが少ないし、わからないから絶対寝るし(笑)」と大半のみなさんは敬遠されてしまう傾向があります。
山井に私が話を持っていったのは、彼と飲んでいるときに、「このままでは能楽は衰退する一方だ。裾野を広げる努力をしなくてはいけない」と彼が話をしたからです。
実際、私の年齢で能楽を趣味で習っている人間など、本当に数えるほどしかいません。私が始めた高校生のころは、周りのオトナにまで「何故能?!」と不思議がられたこともしばしばです。(笑)
そんな中で、学生時代同級生で自分以上に能のキャリアのある人間は、山井しかいなかったのでした。

彼と能楽の話を熱く語るようになったのは、実際は卒業した後だったのですが、自分が劇団を、こういう主旨で立ち上げたいと話をしたときに、真面目に聞いて賛同してくれたのが能楽師である彼で、とても勇気付けられたものです。

そして、今回山口喬司という、能楽をまったく知らないのに、探究心がとても旺盛な演出家を向かえ、とてもいい形で舞のシーンを取り入れることができて、よかったなと思っています。
山口は12月にたまたまあった某(?)喜多流の「大江山」を見に行き、次の稽古のときに「すげー!すごかったっすよ、能って!めっちゃおもしろい!」と子供の様に言っていました。
演出をしている人間が見ても、やはり能の演出、話というのは面白いと感じたらしいです。
このはまりっぷりをみて、「今回はいける!」と密かにほくそえんだものでした。(笑)

その後の演出は見ていただいたとおりです。
私は素人ですので、山井のように美しい舞、というわけには到底いきませんでしたが、彼のフォローもあって、なんとか形にすることができ、それを見て、一部のお客様から「舞のシーンがとてもよかった」とお褒めの言葉をいただけて、本当に嬉しく思いました。

また、山井の舞や仕草を見た、能楽にまったく興味のなかったお客様から「能を見に行きたくなったんだけど、どうすればいい?」と相談を受けたりしまして、本当に嬉しいなと思うばかりです。

こうして、草の根運動のようですが、能楽の面白さ、可能性を少しでも多くの方に広めていけたら、とこれからも一人でも多くの方に「能も昔の人が見たお芝居であり、敬遠するものではない」「能楽師も役者さん」ということに気がついていただけたらいいなと思います。

なんだかえらそうなことをつらつらと書き連ねまして、ご不快に思われた方がいらっしゃいましたらスミマセン。
若輩者ながら、とりあえず、こんなことを考えながら運営していきたいなと、知っていただければと思い、だらだらと書いてみました。
たま〜に、これから次回の舞台までのオフシーズンは、こんなことも書き連ねていってみようかと考えていますので、お時間があるときにでもお付き合いいただけましたら幸いです。

…時々内容のないことも書きますが(笑)

さ、次回の演目、まだ募集中です。色々リクエスト、お願いします。
コメントは↓の青字記載の投稿時間をぽちっと押していただければできますので〜♪

日時: 2006年02月18日 03:12

コメント

はじめまして、暮川さんのコメント、楽しく読ませていただいてます。
今回は暮川さんの能楽への想いにちょっと感激しました。
山井さんの「道成寺」の披きは、各所で絶賛ものの素晴らしい披きでした。
私は狂言師の方のファンから能も観るようになったんですが、狂言の方たちのほうが、映像や現代劇に広く活動してる人が多いですから。
山口さんが12月に観たという喜多流の「大江山」は、国立能楽堂でやった友枝昭世さんのシテのものではないですか?
今の能界でも第一人者と言われる、非常にファンも多い方で私もファンの一人です。
その能を観て「大江山」の話が好きになり、今回の「赤月夜」では、どうアレンジした話になるのか期待半分、不安半分でしたが、「大江山」の本質を掘り下げ、膨らませた、とても面白い作品になっていて期待以上でした。
舞台裏はたいへんだったのでしょうが、出演者の皆さんがとても演劇を楽しんでやってらっしゃるという感じがしました。
これからも、いい作品を作ってくださいね。また、観に行きたいと思っています。

投稿者:ムラ2006年02月18日 23:54

ムラさま

コメントありがとうございます♪
拙文を読んでいただき、有難うございます。
身に余るようなお言葉もいただき、恐縮です。(^^;)
狂言方さんは結構幅広くご活躍してらっしゃいますが、能楽師ではあまりいらっしゃいませんよね。山井が一般の方にも広く知られる能楽師になってくれることを祈るばかりです。(笑)

山口が見たのは、ムラさまの仰るとおり、友枝師のお舞台でした。なかなか大人数が必要な大江山をやられるところがなくて、彼が見るのがぎりぎりになってしまったのです。彼はアイの狂言方が気に入っていたようですが。(笑)やはりいい舞台は初心者をも魅了するのでしょうね。

次回は今回よりもパワーアップすることを目標にしなければなりません!
周りの方々の応援がいいバランスで我々の向上心とプレッシャーのバランスをとって下さいます。
次回も、どうぞよろしくお願い致します。

そうそう…山井クン、普段はフツーにひょうきんなヤツです(笑)

投稿者:暮川|2006年02月19日 03:08


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